慢性腎臓病に新薬続々 進行遅らせる効果 多くの患者が対象に

2023年10月25日 05:00

 慢性腎臓病(CKD)の治療に新薬が続々と登場している。一般にはなじみのない病気だが、国内の患者数は約1330万人に上る。成人の実に8人に1人が患う疾患にもかかわらず、専用の薬がなかったが、初の治療薬も承認された。慢性腎臓病は初期には自覚症状がなく、治療を受けずに放置していると、気づいた時には人工透析寸前だった、ということもある。新薬は病気を治すことはできないものの、進行を遅らせる効果がある。

 慢性腎臓病は加齢や糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性糸球体腎炎、メタボリック症候群などによって起こる。進行すると夜間尿、貧血、倦怠(けんたい)感、むくみ(手の指、顔、足のすね・甲)、息切れなどの症状が出てくる。さらに脳卒中や心筋梗塞など心血管疾患の発症リスクを約3倍高めるとされる。

 札幌医大臨床教授(腎臓内科)で、JR札幌病院(札幌市中央区)の吉田英昭副院長によると、診断は尿・血液検査、画像診断、腎生検(腎臓の組織を採取)で行う。吉田副院長は「慢性腎臓病は腎障害や腎機能の低下が3カ月以上続いているときに診断される。早期なら生活習慣の改善や治療で回復可能だが、進行すると回復は困難。末期腎不全になると人工透析や腎移植が必要となる」と話す。

 慢性腎臓病の診断で最も大切なのがGFRと呼ばれる数値だ。腎臓の働き(フィルターの役目を果たす腎糸球体が1分間にどれだけ血液をろ過し、尿を作れるか)を示すもので、血清クレアチニン値と年齢、性別から算出。60未満が治療の対象となる。

 これまで慢性腎臓病を対象とする薬がなかったため、従来の治療は糖尿病や高血圧の薬を使うことが多かった。糖尿病や高血圧を原因として発症する人が多いためだ。そこに登場したのがSGLT2阻害薬「フォシーガ」だ。慢性腎臓病を対象疾患とする初の薬で、2021年に承認された。

 SGLT2阻害薬は尿に糖を出すことで血糖を下げる飲み薬で、14年に糖尿病の治療薬として承認された。慢性腎臓病にも効果があることが分かり、追加承認された。吉田副院長は「末期腎不全や人工透析患者には使えないが、多くの患者が対象となる可能性がある。30年来変わらなかった治療を大きく変え、選択肢が広がった」と指摘する。

 SGLT2阻害薬は副作用として、頻尿、膀胱(ぼうこう)炎、尿道・膣(ちつ)の感染症、体重減少などが起こることがあり、特に女性は注意が必要。また、脱水を起こすことがあり、症状を自覚しにくい高齢者には勧められないこともある。

 慢性腎臓病を対象疾患とする治療薬としては昨年3月に「ケレンディア」も承認されている。MR拮抗(きっこう)薬と呼ばれるもので、尿細管などにおけるアルドステロン(副腎から分泌されるホルモン)の働きを阻害し、腎臓を保護する作用がある。最も多い2型糖尿病を合併している人が対象だ。

 このほか、慢性腎臓病による貧血を改善する飲み薬(HIF―PH阻害薬)、高カリウム血症を抑える飲み薬(ロケルマ)なども発売されている。

 吉田副院長は「慢性腎臓病を専門とする医師が少ないこともあり、適切な診断や治療が滞っていることもある。健康診断で異常が出たら、かかりつけ医とも相談し、腎臓内科を受診することを検討してほしい」と話す。(編集委員 荻野貴生)

北海道新聞よりシェアしました https://www.hokkaido-np.co.jp/article/930317/

しのろ駅前医院

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