介護人材確保、サービス充実図る 24年度介護報酬プラス改定

2024年2月1日 5:00

 介護保険サービスを提供した対価として、事業所や施設に支払われる介護報酬の2024年度の改定内容が固まり、全体では報酬を引き上げるプラス改定となった。介護職員の賃金の底上げ、物価高、認知症対応力の強化など介護サービスの充実や課題解決を図る。一方、これらに伴い利用者の自己負担額も、大半が4月から引き上げとなる。行政や各サービスの窓口などでは、利用者側への丁寧な説明が求められそうだ。

■認知症対応強化 利用者の自己負担は増

 今回の改定の狙いの一つは、不足が叫ばれる介護職員の定着を促し、離職や転職に歯止めをかけることだ。厚生労働省は介護職員の賃上げや働きやすい職場環境を整えるなど一定の要件を満たした事業所や施設について、報酬に上乗せする加算率を6月から0・5~2・3㌽引き上げる。これにより職員の賃金について2%台のベースアップを目指す。

 また各サービスの費用に当たる基本料のうち、訪問看護や通所介護、特別養護老人ホームなどの基本料は引き上がる=表=。利用者の自己負担額は、所得に応じ基本料の1~3割。訪問介護はホームヘルパーが食事や入浴、排せつを介助する身体介護と、掃除や洗濯、調理を行う生活援助ともに引き下げとなる。

 介護サービスの充実には多くのメニューが用意された。訪問介護では、みとりの状態にある利用者を支援している事業所を評価。基本料に上乗せする加算の条件の一つとして、みとりを新たに認める。他の条件と合わせて満たすことで10~20%の加算が付けられる。

 訪問看護では、末期がん患者らの心身の苦痛を和らげる緩和ケアや床ずれのケアなどの知識、技術を持つ専門性が高い看護師が対応した場合に、月2500円の加算を設ける。自宅で最期を迎えたいと望む人の思いに応えたり、自宅で医療的ケアを受けやすい環境を整えたりする。

 認知症高齢者が増加する中、認知症介護の対応力の強化も目指す。一つの事業所で通所や訪問、宿泊のサービスを受けられる小規模多機能型居宅介護では、認知症介護に関する専門的な研修を受けた職員の配置や研修を行う事業所について、満たす要件に応じ月9200円または月8900円を加算する。

 特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームでも、認知症の症状に伴う妄想や暴力などを未然に防いだり、こうした症状が現れた時に早期に対応したりできるような態勢づくりを進める。具体的に、専門的な研修を受けた職員を配置しチームで対応するなどの要件を満たすと、月1500円または月1200円を上乗せする。

 利用者が全額負担する施設の部屋代は、光熱水費の上昇を受け、厚労省が示す基準額を8月から1日当たり60円増額。また、介護老人保健施設と介護医療院の各一部の施設で、相部屋の部屋代(月8千円相当)を25年8月から徴収する。

 このほか施設やグループホームなどが、センサーやカメラを活用した見守り機器を導入し業務改善に取り組むと加算で基本料に上乗せする仕組みを導入。見守り機器を設置した介護付き有料老人ホームの職員の配置基準を緩和する。(熊谷知喜)


北海道新聞よりシェアしました https://www.hokkaido-np.co.jp/article/969921/

しのろ駅前医院

篠路駅西口にある内科のクリニックです。地域のかかりつけ医として高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、痛風、気管支喘息などを中心に胃カメラや大腸カメラも対応しています。健診、予防接種や訪問診療もご相談ください。