新型コロナ、北海道内で再流行の兆し 無症状か軽症多く 札幌の下水中ウイルス濃度は最高値

2024年8月23日 18:31(8月25日 2:23更新)

 道内で新型コロナウイルスが再流行の兆しを見せている。札幌市内の下水に含まれる新型コロナのウイルス濃度が今月上旬に過去最高値を記録し、一部医療機関では感染者の来院が急増している。大半の感染者は無症状か、発熱がないなどの軽症で、無自覚のまま感染を広げているとみられる。夏休み明けの学校で感染が一気に拡大する恐れもある。

■夏休み明け 拡大懸念

 「7月中旬から新型コロナの症状を訴える患者が急増した。陽性者の多さに恐怖を覚えた」。札幌市北区の「北20条内科クリニック」の緒方世子院長はそう語る。

 発熱外来がある同クリニックは5月の大型連休以降、新型コロナの感染者は過去の流行期に比べて減少傾向にあった。

 だが緒方院長が休日の当番医だった7月15日、症状を訴える受診者が殺到。検査を受けた約100人のうち陽性者は約90人に上った。その後も同様の状況が続き、対応しきれず他院での受診を勧めたこともあった。

■頭やのどに激痛

 感染者の多くは平熱や微熱だが、頭痛やのどの痛みが激しく、市販薬で症状が治まらなかったため受診した患者が目立つ。同クリニックは発熱外来の患者と一般受診者の動線を分けるなどの対策を講じているが、風邪と新型コロナの患者の見分けはつきにくくなっているという。

 札幌市によると、市内の下水に含まれる新型コロナウイルスの濃度は、4日までの1週間の数値が1リットル当たり18万5千コピー(コピーは単位)と、調査を始めた2021年以降で最高値となった。18日までの週も過去4番目の13万コピーに上った。新型コロナの感染者は症状の有無にかかわらず、ふん便にウイルスが含まれるため、札幌市内では既に感染が広がっている可能性が高い。

 一方、札幌市保健所管内の定点医療機関から報告された感染者数は、18日までの週が1医療機関当たり8.92人で、感染者が最大で16.21人に達した今年2月の流行期に比べれば少ない。道内全体でも18日までの週は9.79人にとどまった。

 下水調査の結果と感染者数の統計に乖離(かいり)が生じているのはなぜか。専門家らはワクチンの普及や免疫を獲得した人が多くなったことで、以前より無症状や軽症で済む人が増えたと分析する。症状があっても市販のせき止め薬の服用などで済ませ、医療機関を受診しない人が大半とみられる。

■高齢者らリスク

 感染が広がるほど、高齢者や基礎疾患のある人など重症化しやすい人のリスクは増す。札幌市北区の「あさぶハート・内科クリニック」では、7月下旬以降に受診した75歳以上の高齢者3人が、重症化のため別の病院に入院。このうち1人が入院中に亡くなった。

 同クリニックでは若年層の患者でも、せきが長引くなど後遺症に苦しむケースが出ている。新型コロナは昨年5月から、感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」となったが、福島新院長(48)は「重症化リスクの高さなどを考えれば、コロナは明らかにインフルや一般的な風邪とは異なる病気だ」と警戒を呼び掛ける。

 札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)は「道内は感染流行期に入りつつあることは間違いない」とし、学校再開や夏季休暇明けをきっかけに感染が急拡大しかねないと指摘。「小まめなうがいや手洗いのほか、人混みを避け、のどに痛みがあればマスクを着用するなどの対策を徹底してほしい」と訴える。

( 藤本理佳 、尹順平 )


北海道新聞よりシェアしました https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1053824/

しのろ駅前医院

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