2024年10月13日 4:00
スポーツの秋。健康や体形維持のため、ランニングやジム通いを始めてみたものの「あまり続かなかった」という経験はないだろうか。特に仕事や家事に忙しい世代は、運動のための時間を取りづらく、疲れた状態で運動して体調を崩すこともある。運動を長続きさせるためのポイントを専門家に聞いた。
■日常活動に組み込む/仲間と一緒に習慣化
ウオーキング最多
スポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(2023年)によると、週1日以上運動やスポーツをする20歳以上の割合は男女平均で52.0%。70代では6割を超えるのに対し、30~50代は45%前後と低めで、理由は「仕事や家事が忙しい」「面倒くさい」などが挙げられた。種目は「ウオーキング」が男女とも最多だった。
「ニュージーランド式24時間やせる身体をつくるベストセルフダイエット」(Gakken)の著書がある同国のパーソナルトレーナー、mikiko(ミキコ)さん(32)は「運動へのモチベーションが最も高まるのは『運動をする』と決めた時で、あとは下がる一方。モチベーションを保つには、その運動自体が楽しくて仕方ないという『内的動機』を高めるのが理想」と話す。
脂肪燃焼や体力アップの効果を「短期間」「効率的」に得られる運動は一見魅力的だが、自分が「楽しい」「心地よい」と感じる運動を選ぶ方が良いという。「一人で黙々と運動するのが合っている人もいれば、集団で楽しむ方がいい人もいる。自分に合った運動は継続しやすい」とmikikoさん。音楽が好きな人なら、運動する時に好みの音楽を流してみたり、買い物好きな人はウインドーショッピングをして歩数を増やしたりするのも、「内的動機」の向上につながる。
自分に合った目標を立てることも大切だ。mikikoさんは、最初から目標を高く設定するのではなく「『このくらいなら絶対できるでしょ』と笑ってしまうくらい、簡単な目標から始めると続きやすい」と助言する。「例えば、30分の散歩の間に5分だけ走ってみる。それで物足りなくなったら、徐々に10分、15分と増やしていくのが良いと思います」
睡眠不足に要注意
疲れている時に無理に運動すると、体調を崩す場合もある。特に睡眠不足には注意が必要という。「身体は眠っている間に回復します。睡眠不足が続いていて運動後の回復が追い付かないと免疫力が下がり、風邪を引いたりしやすくなる」とmikikoさん。体調不良の時は無理をせず、「時々はサボってもOK」という緩い気持ちでいることも、継続につながりやすいようだ。
「運動する時間がない」という人は、どうしたら良いだろうか。mikikoさんは、戸棚の整理をする際に一度中身を全部出してから必要な物を中に戻していく方法を例に、自分の時間の使い方と一度向き合ってみるよう勧める。「優先順位の高い活動と一緒に、運動の時間を組み入れてみることをお勧めします」
自分に合った楽しみ方を見つけるのも手だ。北海道教育大岩見沢校の山本理人教授(スポーツ教育学)は、運動の楽しさは主に3種類あるとする。①勝ち負けを競い合う「競争型」②自己ベスト更新などの達成感を味わう「達成型」③できなかったプレーができるようになる「克服型」。このほか、仲間との交流の楽しみなどもある。
北国の場合、冬に雪が積もると、ランニングなど一部の運動は継続が難しくなる。ランニング用デッキのある体育館は限られるほか、デッキがあったとしても屋内での運動になじめない人もいる。「記録向上など『達成型』の楽しみを求める人は屋内でもOKですが、外で気分転換する楽しみを求める人は、冬場はウオーキングに切り替えた方が良いかもしれません」
山本教授は、大切な友人やパートナーなど「重要な他者」から誘われて運動を始めることも、習慣化につながりやすいと指摘する。大切な人からサイクリングやテニスに誘われ、最初は仕方なく始めたものの「コミュニケーションを取りながら運動するうちに楽しくなり、気付いたら習慣化していた―という例を多く聞きます」と話している。
北海道新聞よりシェアしました https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1074791/
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