沖縄県立中部病院の高山義浩先生からの情報です。
5類へと移行したこともあり、新型コロナウイルスへの社会的警戒感も薄れてきました。ただし、それでも流行のたびに高齢者の救急搬送が重なり、亡くなられる方も少なくありません。
たしかに、インフルエンザの流行でも高齢者が死亡してきました。ただ、現在のオミクロン株はインフルエンザと同程度にまで病原性が低下しているのでしょうか?
図は、オミクロン株が主流となった2022年の新型コロナウイルスによる死亡数と比較的大きな流行があった2019年のインフルエンザによる死亡数とを年齢階級別に人口10万人あたりで比較したものです。
小児では、インフルエンザと新型コロナウイルスの死亡率に差は認められませんが、壮年層から差が開きはじめ、70代、80代の高齢者では死亡率が13倍、90代では15倍と高くなっています。
新型コロナウイルス感染症は、高齢者にとって「ただの風邪」ではありません。とくに要介護など脆弱な高齢者は、感染により容易に重症化することがあります。また、感染が直接死因とならなくても、感染後に衰弱して寝たきりとなり、数か月で亡くなることも少なくありません。
今月より新型コロナウイルスに対するワクチンの定期接種が始まっています。ハイリスクの高齢者、とくに集団生活をされている施設入所者の方々には、重症化を予防するためワクチン接種をお勧めいたします。
なお、これまで接種して気分が悪くなったり、発熱したりしたことがある方は、無理に接種する必要はありません。周囲も無理強いしないようにしてください。不安や疑問がある方は、かかりつけ医に相談しましょう。
あと、家族など身近な人がワクチン接種に反対している場合も、無理に接種することはありません。本人を板挟みにしないことが大切です。私も外来などで、家族が来ていただけるなら説明していますが、基本的には「ご家族の方針に合わせた方がいいですよ」と話しています。
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奈良県立医大からの報告は1000万人あたりのデータです。こちらもご参照ください。
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