今回も沖縄県立中部病院の高山義浩先生からの情報です。
図は、2022年1月から6月までの沖縄県で報告された感染者約20万人の重症度を、年齢階級別に集計したものです。ちょうど、オミクロン株へと置き換わった時期にあたります。なお、同年7月より発生届が簡略化されたため、6月までの集計となっています。
若者層においては、ほとんどが軽症で推移し、入院が必要となるのは20歳未満で320人に1人、20-49歳でも90人に1人にすぎません。一方で、70歳以上では4人に1人が入院しています。病原性が低下してきたと言われますが、高齢者が感染すると多くが入院を要するため、一定以上の流行が生じると医療ひっ迫が容易に引き起こされます。これは、インフルエンザの流行とは大きく異なる特徴です。
下段には、ワクチン接種歴別に入院率と致死率を示しています。ワクチン接種が進むことで、高齢者においても入院を回避できる割合は確実に増えますが、効果は十分とは言えません。しかし、死亡リスクに関しては明らかに低下します。未接種の70歳以上の致死率は1.73%と高く、2回接種後でも1.15%にとどまりますが、ワクチン接種を最新の状態(当時は3回接種)としている場合は0.29%まで大幅に減少します。こうした傾向は、他の先進諸外国の報告とも一致しているところです(Lancet Infect Dis. 2023 Aug 2;S1473-3099(23)00373-0.)。
ただ、残念ながら時間とともにワクチンの効果は減弱します(JAMA Netw Open. 2022;5(9):e2232760.)。そのため、ハイリスクの高齢者に対しては、ワクチン接種を最新の状態に保つよう呼びかけることが必要です。
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