妊婦へのRSワクチン定期接種スタート 抗体移行で乳児の重症化防ぐ

2026年4月21日 19:00


 乳幼児が重症化しやすい「RSウイルス感染症」予防のため、妊婦を対象にしたワクチンの定期接種が、4月から始まった。生まれた子どもに効果が出る母子免疫ワクチンの定期接種化は初めて。専門家は「重症化のリスクを減らすことができる意義は大きい」と指摘する。

 厚生労働省によると、RSウイルス感染症は1歳までに5割以上、2歳までにほぼ全ての乳幼児が少なくとも一度は感染する。流行時期は年によって異なり、予想しにくい。感染すると2~8日の潜伏期間の後、発熱、鼻水、せきなどの風邪症状が数日続く。高齢者以外の大人が感染しても重症化しないため、保護者や年長のきょうだいが感染しても気づきにくい。だが、初めて感染した乳幼児では約3割でせきが悪化し、重症化する場合があるという。

■赤ちゃんへのワクチンなし 妊娠28週から対象

 母子免疫ワクチンは、妊婦が接種すると抗体が胎児に移行し、発症や重症化を予防できる。RSウイルスワクチンでは、接種によって重症を防ぐ効果は、生後0~3カ月で約8割、生後0~6カ月で約7割とされている。

 ワクチン接種から出産までの期間が2週間以内の場合、十分に抗体が移行しない可能性がある。そのため、妊娠28週から36週6日までが対象だ。

 「赤ちゃんに接種できるRSウイルスのワクチンがない中、妊婦にワクチンを接種することで、重症化のリスクから守ることができる」。日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の主担当理事(取材時)で札幌医科大小児科の津川毅教授は、接種の意義をこう説明する。定期接種化は、日本小児科学会などが国に要望してきた。

 津川教授によると、RSウイルス感染症は呼吸器の感染症で、せきや鼻水がひどくなることがある。年齢が小さいほど免疫や呼吸器系の発達が未熟なため、たんが出しにくく、空気の通り道が細い。重症化すると呼吸が苦しくなり、気管支炎や肺炎などで入院が必要になるという。

■特に生後6カ月未満 重症化しやすく

 一般的には、生後数カ月間は母親から受け取る抗体で乳児は多くの感染症にかかりにくいが、感染症によって抗体の量が異なり、RSウイルスについては生後数カ月でも感染することが少なくないという。津川教授は「RSウイルス感染症の特徴として、乳幼児、特に6カ月未満の乳児が感染すると重症化しやすい」とする。

 RSウイルスのワクチンは2024年5月に市販化されたが、任意接種のため3万円以上の自己負担が必要だった。定期接種となり、費用は多くの自治体で原則として公費負担(無料)となる。

 NTT東日本札幌病院産婦人科の寺本瑞絵医師は「妊婦健診で以前から接種できることを説明していたが、受ける人は少なかった。定期接種になって、ほとんどの人が受けている」と話す。

 RSウイルス感染の予防にはワクチン以外に、抗体製剤の投与があるが、保険適用の対象は、早産児や生まれつき呼吸器や心臓に疾患がある乳児らに限られている。津川教授は「ハイリスクの子どもへの抗体製剤の有効性は高く、日本では基礎疾患のない子どものRSウイルスによる入院が圧倒的に多い」と話す。学会では、全ての子どもに抗体製剤を使用できるよう求めており、国が検討を進めているという。

北海道新聞よりシェアしました ⇒ https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1303527/

しのろ駅前医院

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