2014年4月、この高血圧の診療方針をまとめた「高血圧治療ガイドライン」(日本高血圧学会)が5年ぶりに改訂されました。今回の変更点は46項目。その中で、大きなポイントとして示されたのが、家庭で測定する「家庭血圧」の評価です。「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」と記されたように、これまで以上に家庭血圧を重要視する内容になりました。また、家庭血圧測定の測定条件のうち、測定回数についても明確になりました。ガイドラインの作成にあたり、査読委員として参加した自治医科大学医学部循環器内科学の星出聡准教授は、「2009年のガイドラインでは、家庭血圧の測定回数は『1機会につき1回以上』とされ、何回測ればよいのかはっきりしないことが問題となっていました。現状では2回測定する人が多いことや、ヨーロッパのガイドラインでは『1機会に2回の測定』という記載があることから、今回の改訂では『1機会原則2回測定し、その平均をとる』ことになりました」と経緯を話します。
睡眠の質、ストレス、隠れた病気もわかる「夜間血圧」
また、今回の改訂では、「血圧の日内変動や夜間血圧なども留意する」とされました。血圧は上がったり下がったり、1日のうちで変動があります。通常は起床すると上昇し活動する昼間に高くなり、夜は下がります。ところが、深夜になっても血圧が下がらないタイプや、夜になると血圧が上がるタイプが存在し、そのような夜間血圧が高い人では、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高いことがわかってきました。「私たちの研究では、夜間血圧が高い人は、正常な人と比べて高血圧による臓器障害の指標が高いことがわかりました。また、夜間血圧は夏の方が上がるという海外のデータもあります。こちらは暑くて眠れず睡眠の質が落ちることが原因といわれていますが、夜間血圧が上がる典型的な病気は、睡眠時無呼吸症候群です」と星出准教授。睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に気道がふさがり、呼吸ができなくなる病気です。睡眠が十分にとれないため、昼間に眠くなることが多く、近年、この病気による事故が社会問題となっています。さらに、家族の介護など生活環境になんらかのストレスや問題があると夜間血圧は高くなるといいます。夜間血圧は、通常の診察では見えない部分。家庭で夜間の血圧を測定することで日頃の睡眠の質やその人が抱えるストレス、隠れた病気などもわかる、と星出准教授は話します。最近は、家庭で簡便に夜間血圧を測定できる血圧計も登場しています。
(オムロンのホームページより)
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/134.html
マンシェットを巻く時の注意点
Q: マンシェットを巻くとき、指が1~2本入る程度の強さで巻くのはなぜ?
A: これはあくまでも目安ですが、マンシェットの巻き具合で血圧値が変わってしまうためです。
「マンシェットを緩く巻くと」
マンシェットを正しく巻いた場合、マンシェットの中のゴム嚢が均等に上腕を圧迫し、そのため上腕動脈が圧迫され血行が止まります。
緩く巻きすぎると、加圧したときマンシェットの中のゴム嚢が外方に膨れ上がり、内部の上腕動脈を圧迫する加圧面積が減って十分圧迫することができなくなります。マンシェットを正しく巻いたときよりもさらに加圧しないと、上腕動脈の血行が止まりません。その結果として、血圧値が高くなってしまいます(図1)。
①マンシェットを正しく巻いた場合:マンシェットの中のゴム嚢が均等に上腕を圧迫し、そのため上腕動脈が圧迫され血行が止まる。
②マンシェットを緩く巻いた場合:マンシェットのゴム嚢が外方に膨れ上がり、内部の上腕動脈の圧迫の仕方が弱くなり①よりもさらに加圧しないと上腕動脈の血行が止まらない。
「マンシェットをきつく巻くと」
反対にあまりきつく巻きすぎると、マンシェットに空気を入れる前から上腕を緊迫した状態となり、その分だけ血圧値は低くなってしまいます。また、きつく巻きすぎた場合、静脈を圧迫してしまい、手や前腕がうっ血を起こし血管音が聴きとりにくくなります。
そのため収縮期圧(最大血圧)は低く、拡張期圧(最小血圧)は高めに出たりすることがあり、血圧測定が不正確になります。そこで巻き方は、「緩からず、きつからず」ということになります。
(看護roo!、『根拠から学ぶ基礎看護技術』より)
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