帯状疱疹は、最初の感染後に体内で休眠している水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)(水ぼうそうと同一のウイルス)が再活性化することで起こります。加齢に伴う免疫力の低下により、VZVが再活性化し、帯状疱疹を引き起こします。免疫力が抑制されている、または低下している人では、帯状疱疹を発症するリスクが高くなります。世界では、50歳以上の成人の90%以上がVZVに感染しており、帯状疱疹を発症するリスクを有しています。50歳を過ぎると帯状疱疹の発症が増え始め、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。
帯状疱疹の症状には、通常、胸部、腹部または顔面に痛みを伴う水疱やかゆみを伴う発疹が現れ、しばしば灼熱感、発赤、または刺すような痛みを伴うこともあります。発疹が消えた後、痛みが残ることがあり、3か月以上痛みが続くものを帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼び、痛みが数ヶ月間続くことがあります。PHNは、帯状疱疹の最も一般的な合併症です。また、50歳以上の帯状疱疹の患者さんは、PHNに移行しやすく、加齢とともに移行率は高まることから、高齢者ほどPHNになりやすいと考えられています。50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、約2割が3月以上痛みが続くPHNになると言われています。一部の患者さんでは痛みが1年以上にわたって続くことも稀ではありません。その他に、目や耳に症状が出たり顔面神経麻痺などの重い後遺症が残ることもあります。
自費診療となりますが、50歳以上の方には発症を予防するワクチンを行うことができます。現在使用できるワクチンは2種類あります。
当クリニックでは、帯状疱疹に適用のある2種類のワクチンを取り扱っています。
①乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」(皮下注射) 9,200円(税込)(1回の接種で完了)
②シングリックス®(筋肉内注射) 22,000円/回(税込)(2ヵ月間隔で2回の接種が必要)
◎「シングリックス」と「乾燥弱毒生水痘ワクチン」の違いについて
これまで帯状疱疹の予防には生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)が用いられていましたが、2020年より、新たに不活化ワクチンであるシングリックスが使えるようになりました。発症予防効果は従来型生ワクチン50%程度なのに対して、シングリックスは97%と非常に効果高いです。
また、従来のワクチンはウイルス活性を弱めた“生ワクチン”ですが、シングリックスは病原性をなくしウイルスの一部のみを使用した“不活化ワクチン”となりますので安全性も高く、免疫力が弱った方にも接種が可能です。シングリックスは、その他のワクチンとの接種間隔を全く気にすることがなく接種できます(現時点では新型コロナウィルスワクチンを除く)。 一方で、生ワクチンである水痘ワクチンは、他の生ワクチンを接種するのに28日間あけることが求められます。
効果持続期間は弱毒生ワクチンが5年程度に対して、シングリックスは現時点で9年以上免疫が持続することがわかっています。
効果、費用などそれぞれ長所、短所があるので、皆さまのライフスタイルに合ったワクチンを選択していただければと思います。
帯状疱疹ワクチン接種ご希望の方は、クリニックまでお問い合わせください。
帯状疱疹の画像です。患者さんにご協力いただきました。神経痛は自覚されたものの、湿布を貼ったら良くなると思っているうちに悪化してしまいました。痛くてよく眠られなかったそうです。受診後、内服加療と軟膏塗布を開始しました。今後、再発予防のためにワクチン接種をお勧めさせて頂きました(2023年11月20日 追記)。
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