2023年5月24日 20:53(5月25日 00:36更新)
【石狩】道道の整備で消滅する恐れがあった石狩市内のオオバナノエンレイソウの群生地から、市民団体が隣接地に昨秋移植した株が、純白で大ぶりな花を咲かせた。専門家の助言を受け、道内最大級の群生地の保護を訴える市民団体と道路を整備する道が協力して移植。一部はエゾシカの食害にあったが、70株は開花。専門家は株が定着したとし「官民学が三位一体で協力し、希少種保護につなげた好事例」とする。
群生地は石狩市新港西の緑地にある。道道整備で約1ヘクタールが消失する恐れがあり、市民団体が道の協力を受け、昨年9月に隣接する国有地に449株を移した。
市民団体「石狩浜夢の木プロジェクト」が今月13日に実施した観察会で開花を確認した。開花あるいは葉が付いたものは計135株あった。一方で、エゾシカによる食害で茎のみになっている株も66個あった。一部は茶色く変色し、ほかの植物と判別が付かない株もあり、移植を提案し観察会に参加した大原雅北大名誉教授(植物生態学)は「定着した株は実際はもっと多い」とみる。
工事を行う札幌建設管理部も残された群生地の乾燥化を防ぐため、コンクリート製の側溝をやめて土の側溝にして、木をなるべく切らずに施工している。移植先のササ刈りも行い、大原名誉教授は「互いの立場を尊重し、一つの着地点を見いだした貴重な事例」と評価する。同団体の安田秀子代表も「希望が持てる結果だった。来年以降も観察を続け、貴重な群生地を守りたい」と話す。
オオバナノエンレイソウは国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定している。(伊藤駿)
北海道新聞よりシェアしました https://www.hokkaido-np.co.jp/article/850900/
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