診療報酬、人件費は0・88%増 賃上げ対応、全体マイナス
2023年12月15日 18:36(12月16日 00:36更新)
政府は15日、医療機関の収入に当たる診療報酬の2024年度改定で、医師や看護師ら医療従事者の人件費などに相当する「本体」部分を0・88%引き上げる方針を固めた。賃上げを後押しし、医療現場の人材確保を図る。介護事業所に支払う介護報酬も1%以上のプラスとする方向で、物価高騰の中で岸田政権が看板とする「賃上げ」を重視した。関係者が明らかにした。
診療報酬のうち医薬品の公定価格「薬価」は市場取引価格に近づけ0・96%減とする。本体と薬価を合わせた診療報酬全体はマイナスとなるが、本体部分の引き上げによって歳出圧縮幅は小さくなり、少子高齢化社会で持続可能な社会保障制度を構築する歳出改革に課題を残した。
診療報酬については、岸田文雄首相と鈴木俊一財務相、武見敬三厚生労働相が15日、官邸で協議し折り合った。本体は、前回(22年度)改定の0・43%プラスを大きく上回った。0・88%のうち賃上げ対応のための引き上げ幅は0・61%。
医療費は患者の窓口負担や保険料、国費などで賄われる。診療報酬を引き上げれば医療従事者の処遇改善を後押しできる半面、保険料など国民の負担が増える。診療報酬の1%分は、保険料や国費などの負担で計約4800億円に当たる。
診療報酬改定は、予算編成の焦点の一つ。23年春闘では約30年ぶりの高水準とされる賃上げが実現しており、厚労省は医療従事者の待遇改善のため1%台半ばの引き上げを求めた。財務省は診療所のもうけが多いことなどを理由に、医療費抑制のため0・2%程度を主張。激しい攻防を展開し、協議は難航していた。
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介護報酬1・59%引き上げ 障害福祉は1・12%プラス
2023年12月16日 20:35(12月16日 21:12更新)
政府は16日、介護サービス事業所の収入に当たる介護報酬を、2024年度の改定で1・59%引き上げる方針を固めた。障害福祉サービス事業所への報酬は1・12%プラスとする。他産業で相次ぐ高水準の賃上げや現場の人手不足を踏まえ、事業所の経営安定や職員の処遇改善を進める狙い。近く政府が決定する。
介護報酬の引き上げは、賃上げ対応分の0・98%を含めて計1・59%。これとは別に、施設の光熱水費といった物価高への対応分などとして「0・45%相当」を用意し、事業者には実質的に計2・04%相当の引き上げ効果が見込まれるという。
介護報酬は原則3年に1度見直すため、最近の物価高騰に対応できず、介護職員の賃上げ率は全産業平均を下回っていた。前回21年度改定の0・7%増を上回るプラスとすることで、人材流出に歯止めをかける必要があると判断した。
介護報酬の上げ幅を巡っては、財務省が1%強を主張し、厚生労働省は約3%を求め、調整が続いていた。
介護現場の人手不足解消は喫緊の課題で、厚労省は介護ロボットなどの導入を財政支援し、職員の負担軽減や働きやすい環境づくりを後押しする。一方、低賃金が人材流出の要因だという指摘もあり、関係団体などから介護報酬の大幅な引き上げを求める声が上がっていた。
障害福祉報酬も原則3年に1度見直し、前回21年度は0・56%のプラスだった。
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