ウニ不漁で高騰 北海道内日本海側2~5割減、浜値2倍も 高水温や餌不足

2024年7月9日 18:27(7月10日 5:31更新)


 道内の日本海側で漁期に入っているウニ漁が、漁獲量の低迷に直面している。札幌市内の観光客向け店舗では品薄から、ウニ丼などの価格が昨年の同時期に比べ1.5~2倍と高騰。昨夏の海水温上昇によるウニのへい死や餌のコンブ不足などの影響とみられ、資源確保のため自主的に漁獲量を制限する動きが出ている。気候変動の先行きが見えない中、影響は長期化する恐れもある。

 札幌市中央区の二条市場。エゾバフンウニとキタムラサキウニの食べ比べ丼などの看板が目立ち、ウニはこの時期の主力商品となっている。昨夏の価格は例年よりやや高めだったが、今年はさらに高くなっている。

 海鮮丼店の「小熊商店」では、昨夏は5千円ほどだったウニ丼を今は7500円程度で販売。同店の伊藤翔悟代表(36)は「例年この時期はウニの漁獲量が増えて価格が下がるのに、今年は量が少なく価格は高騰している」とこぼす。

 土産物店「橋本商店」は、昨年4千円ほどで売っていたウニの折り詰めや塩水ウニのパック入り商品を、7千~8千円まで値上げ。橋本浩司社長(56)は「少しでもお客が手に取りやすいよう、価格が安いロシア産なども扱っている」と話す。

 道内の日本海側のウニは、生殖巣が発達する初夏に味が濃くなり旬を迎える。漁業者もこうしたウニを狙う。4日に漁に出た後志管内余市町のウニ漁師川内谷(かわうちや)幸恵さん(46)は例年、1回の出漁で50キロのかごの8割くらいまでウニを捕るが、この日はかごの5割程度。川内谷さんは「ウニがいない。箱めがねで海底を眺めているだけ」と肩を落とす。所属する余市郡漁協(余市町)の磯回り連合会は、昨年まで1回の出漁で100キロまでとしていた漁獲量を、今年は70キロに制限した。

 日本海側の他の主産地でも、漁獲量は前年同期比2~5割減と振るわない。5割減の東しゃこたん漁協(同管内古平町)の担当者は「エゾバフンウニだけで言えば前年の7割減で、身入りも悪い。浜値は2倍近く上がっている」と話す。

 道内のウニ漁は日本海側と太平洋側で漁期が異なり、釧路・根室管内は10~6月などとなっている。2018年に4319トンあった漁獲量(殻付き)は22年は3559トンで、減少傾向が続く。

 後志地区水産技術普及指導所(余市町)によると、ウニは水温23度以上で衰弱し26度以上で死ぬが、昨年8月中は小樽沖深さ20メートル地点でも25度だった。担当者は「ウニが生息する浅瀬はさらに高温だったため、ウニがへい死したと推測できる」と説明。「昨年はウニの餌になるコンブの量も少なく、今年の不漁に影響しているのでは」とみる。

 ウニの種苗の放流事業を行う函館市漁協でも「昨年放流した種苗は水温の高さで多くが死んでしまった」と話す。ウニは漁獲可能な直径5センチ以上に育つまで4~5年かかるだけに、関係者は影響を懸念している。


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しのろ駅前医院

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