腰痛、股関節に原因も 長時間の座位、運動不足で硬直 ウオーキングや階段上りで予防

2024年10月2日 4:00

 多くの人が悩まされる腰痛は、原因が分からないことも多い。病気のほか、加齢、ストレス、職業、生活習慣など複合的要因で起きることもある。腰とは関係がない、意外な場所の不具合で発症することもある。

 札幌市の50代後半の男性は、仕事でクルマを使うことが多くなり、歩くことが少なくなった。あるとき階段を上っていると、右股関節に違和感を覚えた。「年をとったからかな」と放置していると、しばらくして腰痛に悩まされるようになった。医師に相談すると、股関節が硬くなり、可動域が狭まっていると指摘された。

 日本整形外科学会専門医で、札幌中央整形外科クリニック(札幌市中央区)の亀田和利院長によると、股関節が硬くなると、姿勢が悪くなったり、腰痛、転倒をしやすくなるリスクが高まる。特に腰痛は、硬い股関節の動きを腰がカバーしようと、過度に動かすことで負担がかかり、痛みを感じるようになるという。

 人工股関節手術を受けた患者の6割は、手術前に腰痛を自覚し、術後に半数ほどが改善したとの調査報告もある。

 股関節が硬くなる主な原因は①仕事などで長時間座る生活②運動不足③股関節の病気―だ。亀田院長は「痛みが激しかったり、足を引きずるような場合は、一時的に痛み止めを処方するが、軽度の場合は適切なストレッチやリハビリテーションを勧める」と話す。

 長時間の座位や運動不足は、股関節が硬くなるだけでなく、筋肉も硬くなりやすくなる。それを防ぐには、歩く距離を長めにしたり、階段を上り下りすることが望ましい。それに加えて股関節のストレッチを行うと、股関節痛や腰痛、転倒などのリスクを減らすとともに、血流やリンパの流れがよくなり、冷え、むくみの緩和、ダイエットも期待できるという。

 股関節痛は病気でも起こる。代表的な疾患は変形性股関節症、関節リウマチ、大腿(だいたい)骨頭壊死(えし)症、先天性股関節脱臼、大腿骨頸部(けいぶ)骨折だ。このうち変形性股関節症は、先天性股関節脱臼や臼蓋(きゅうがい)形成不全などから、生まれつきの股関節の形や発育の問題が主な原因で、50歳を過ぎると症状が見られるようになる。亀田院長は「エックス線やMRI、採血などで病気は判別できるので、股関節に痛みを感じたら早めに受診してほしい」と語る。

 寝ながら行う方法は、あおむけに寝て両膝を胸に向かって引き寄せ=①=、20~30秒保持し3セット。さらにあおむけの状態で膝を立て、両手で左右(外側)に開き、20~30秒保持し、3セット行う。いずれも寝起きと就寝前に行うのが望ましい。

 立ちながら行う方法は、足を肩幅の1.5~2倍に開き、ゆっくりとスクワットする。上体を起こした際に、体を左右にひねり、20~30秒間保持し、毎日1回、3セット行うと効果が高まる。

 座りながら行う方法は、一方の足を膝の上において上体を前に倒す=②=。もう一方の足も同様に行い、20~30秒間保持し、3セット行う。デスクワーク中や長時間座っている時に行うと効果的。いすに座って、膝を開閉するストレッチもいい。

 股関節のストレッチは、深くリラックスして呼吸を意識し、無理のない範囲で行う。3カ月継続すると効果が出てくる。高齢の人は生涯にわたって行うことが望ましいとされている。


北海道新聞よりシェアしました https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1069872/

しのろ駅前医院

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