2024年12月24日 18:27(12月25日 5:37更新)
北海道で季節性インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの患者が急増している。インフルの流行期は例年2月だが、既に6保健所管内で警報レベルに達し、引き続き注意が必要だ。インフルまたはコロナに感染して体力が低下し、もう一方のウイルスに連続して感染する場合もあり、冬休みの後に双方が流行のピークとなる恐れもある。専門家は手洗いやうがいなど感染防止対策の徹底を呼びかけている。
札幌市中央区の医院「円山ため小児科」では23日、保護者と来院したマスク姿の幼児や児童が目立った。午前中だけで約80人の患者が訪れ、多米(ため)淳院長(64)は「12月に入りインフルの患者が増えた。この時期にこれだけ患者が多いのは記憶にない」。直近1週間のインフルの患者は同院だけで約250人に上る。
道内では、発熱した患者が受診予約の上限を超え、受診を断る医療機関が相次いでいるという。
インフルの流行期は例年2月ごろ。多米院長は「コロナ禍で感染予防対策が徹底されてインフルが流行せず、インフルに対する集団免疫が落ちたため、早期の流行になった」とみる。
北海道感染症情報センターによると、道内223定点医療機関が9~15日に報告したインフルの患者数は全道平均で前週比2.8倍の22.58人に上った。保健所別で1医療機関当たりの患者数は、江別が前週比53.13人増の73.13人で最多。札幌市37.94人、倶知安34.75人が続き、6保健所管内で警報レベルの30人以上に達した。
年代別では、10代以下が全体の7割超を占め、学校での集団感染や家庭内感染が多い。小学1年の長男を連れて札幌市内の小児科を受診した同市中央区の主婦菊地美帆さん(36)は「学級閉鎖になったクラスもある。手洗いなどを徹底しているが、いつもより早く寝かしつけるしか対策のしようがない」と話す。
一方、コロナの患者数も増えている。道によると、9~15日の1医療機関当たりの患者数は全道平均で11.93人となり、本年度最多となった。室蘭保健所管内では医療機関が逼迫(ひっぱく)する目安とされる30人を超えた。
北海道教育委員会によると、9~15日に幼稚園と小中高でインフルやコロナにより学級閉鎖したのは97校、学年閉鎖は44校、学校閉鎖は6校に上る。札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)は「学校での集団感染は冬休みで落ち着く」とした一方、「ここ数日は特に警戒が必要。冬休みが明けて再び感染が急拡大する恐れもある」とみる。
北海道医療大の塚本容子教授(公衆衛生学)は「師走は多忙で睡眠不足になりがちで、免疫力が落ちやすい。インフルとコロナの連続感染も注意が必要だ」と説明。感染や重症化を防ぐため、マスクの着用や手洗いと換気の徹底、ワクチン接種の重要性を訴えている。
北海道新聞よりシェアしました https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1104864/
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