※ 当院では迅速キットの取扱いはありません。コロナのPCR検査と同様、核酸検査を行っております。結果は3~4日を要します。確定診断がつく前に、症状が百日咳と合致する場合は薬の処方は出来ます。ご相談ください
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百日咳とは(国立感染症研究所、百日咳のウェブサイトより)
臨床経過は3期に分けられる。
カタル期(約2週間持続):通常7~10日間程度の潜伏期を経て、普通のかぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなる。
痙咳期(約2~3週間持続):次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となる。これは短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出る(笛声:whoop)。この様な咳嗽発作がくり返すことをレプリーゼと呼ぶ。しばしば嘔吐を伴う。発熱はないか、あっても微熱程度である。息を詰めて咳をするため、顔面の静脈圧が上昇し、顔面浮腫、点状出血、眼球結膜出血、鼻出血などが見られることもある。非発作時は無症状であるが、何らかの刺激が加わると発作が誘発される。また、夜間の発作が多い。年齢が小さいほど症状は非定型的であり、乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進展することがある。
回復期(2、3週~):激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなるが、その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出る。全経過約2~3カ月で回復する。成人の百日咳では咳が長期にわたって持続するが、典型的な発作性の咳嗽を示すことはなく、やがて回復に向かう。軽症で診断が見のがされやすいが、菌の排出があるため、ワクチン未接種の新生児・乳児に対する感染源として注意が必要である。これらの点から、成人における百日咳の流行に今後注意していく必要がある。また、アデノウイルス、マイコプラズマ、クラミジアなどの呼吸器感染症でも同様の発作性の咳嗽を示すことがあり、鑑別診断上注意が必要である。
”ハピコワクリニック五反田” 様のブログに大変分かりやすく書かれています。
国立感染症研究所より検査の種類とタイミング(百日せきワクチン ファクトシート 平成29 (2017)年2月10日)
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000184910.pdf
第一岸本臨床の検査項目
咳嗽の出始めであれば、遺伝子検査(核酸検出)を痙咳期であれば、百日咳抗体検査を行う。遺伝子検査(核酸検出)は咽頭拭いで行う。
百日咳抗体検査の場合、初回で100 EU/mL以上であれば確定診断。それ未満であれば2週間空けて2回目を測定。急性期と回復期の2度の採血が必要。
治療(上述の国立感染症研究所、百日咳のウェブサイトより)
百日咳菌に対する治療として、生後6カ月以上の患者にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が用いられる。これらは特にカタル期では有効である。新生児ではこれらの抗菌薬は肥厚性幽門狭窄症を考慮してアジスロマイシンでの治療が奨められる(詳しくは成書参照)。通常、患者からの菌排出は咳の開始から約3週間持続するが、エリスロマイシンなどによる適切な治療により、服用開始から5日後には菌の分離はほぼ陰性となる。耐性菌の出現を防ぐため、原則として感受性を確認し疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめることとする(2018年現在、わが国ではマクロライド耐性菌の出現は認められていない)。痙咳に対しては鎮咳去痰剤、場合により気管支拡張剤などが使われる。
2024/4/26 北海道新聞よりシェアしました。
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こちらの記事もご参照ください。
2015年7月5日 5:00
夜間の咳がひどく熟睡できない 百日咳の可能性、すぐに受診を
<質問> 3歳の幼稚園児ですが、2週間ほど前から夜間の咳(せき)がひどく熟睡できません。熱はなく元気で、日中の咳はあまり気になりません。父親が2カ月前から夜に同じような咳をしています。
<回答> 咳が昼間あまりないにもかかわらず、夜に睡眠が妨げられるほどの激しい咳があるということですね。お父さんも同じように咳が夜ひどいということなので、まず疑わなければならないのは百日咳(ひゃくにちぜき)という病気です。ワクチンが普及している現在でも、外来でしばしば見かける病気です。
百日咳は現在、はしかや風疹と同様に成人の罹患(りかん)が問題になっています。国内の調査では、2~4週以上咳が続く成人の約2割が百日咳だったという報告があります。増えた理由として、ワクチン効果の減弱が考えられています。百日咳菌は感染力が強く、親がまずかかり、子どもにうつる場合が珍しくありません。生後6カ月以下の乳児の百日咳は特に重症になることがあるので要注意です。
百日咳の診断は、夜間の強い咳こみや、「息を吸う時にヒューという音がする」などの症状と血液検査で行います。詳しい血液検査は結果がすぐに出ないので、経過や症状などからの臨床的診断が大切です。早期の適切な抗菌薬治療は、すみやかな症状の改善と周囲への感染予防にとって重要です。百日咳以外にも夜間に強い咳がでる病気はありますので、すぐに医師に診てもらうことをお勧めします。
(瀬川雅史=のえる小児科院長)
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