2025年1月9日 4:00
ドイツで開発された巻き爪治療が注目を集めている。巻き爪患者は10人に1人いると言われているが、医療機関に通う人は1割にも満たないとされる。治療は「出血せず、痛くない」が特徴だ。
巻き爪は爪が内側に巻いてしまった状態をいい、多くは足の爪に起こる。変形は大きいのに痛みが少なかったり、逆に変形は小さいのに痛みが大きいなど症状は人それぞれだ。
原因も不適切な靴(幅の狭い靴やヒールの高いパンプスなど)の使用、深爪、外傷、白癬(はくせん)など、さまざまある。
ドイツで開発された治療は「巻き爪矯正技術3TO(VHO)」という。
巻き爪外来を開設する札幌東徳洲会病院(札幌市東区)の大沼眞廣(まさひろ)医師(形成外科)によると、治療は専用のスチール鋼を爪の大きさに合わせて切り、爪の湾曲状態に合わせてワイヤを湾曲。爪の左右に引っ掛け、専用のフックを用いて巻き上げ、固定し、余分なワイヤをカットして、ジェル状の人工爪で覆う。治療は外来で20~30分で終了する。
爪の横に引っ掛けたワイヤは、食い込んで痛いように見えるが、皮膚や皮下組織に刺さっていないため、痛みを感じることはなく、出血もない。
大沼医師は「患者さんは治療当日から効果を実感でき、入浴やスポーツをすることも可能」と話す。
固定したワイヤは爪の伸びとともに前方に移動するので、2カ月おきに3~4回、受診する必要がある。半年から1年で爪を矯正する。
なお爪白癬(爪水虫)の場合は、水虫の治療を優先することもある。
治療中はMRI検査や、電気メスを使った手術を受けられないケースがある。
巻き爪治療には手術をする選択もある。一つはフェノール法と呼ばれ、巻いている爪の側縁を切除し、その部分の爪が生えてこないように、爪の根元部分(爪母(そうぼ))を薬剤で処理し、爪の幅を狭くするもので、日帰り手術が可能だ。
もう一つは爪床(そうしょう)形成術で、一度爪を取り除き、爪の下の皮膚(爪床)を骨から剝がして平らに縫合する。爪床形成術は、爪の幅を狭めずに治療できるものの、1週間ほどの入院が必要になる。
大沼医師は「VHO、手術とも再発することがある。巻き爪になる人は、足の指に力を入れないで歩く人が多い。足の指に力を入れて歩くことを勧めている」と話す。
VHOは保険外診療で、札幌東徳洲会病院の場合は、初診が診察のみで3300円、治療が入ると1万1千円。再診時は診察のみが2200円、治療が入ると8800円。
一方、手術は保険適用されている。
巻き爪の治療は主に形成外科と皮膚科で行われている。
道内で医師がライセンスを取得してVHO療法を行っている医療機関はホームページ(https://www.vho.jp/vho/medical/index.html)で調べることができる。
北海道新聞よりシェアしました https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1108790/
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